ことば百科

文章の書き方・ととのえ方

22, 伝達・説得的な文章の書き方

  1. 論文の書き方
  2. 説明文の書き方
  3. 報道文の書き方

 伝達・説得を目的とする文章には、報道文・論文・PR文・説明文などがある。ここでは、論文・説明文・報道文について解説する。

論文の書き方

 論文とは、論証の文章である。はっきりとした主張とそれを支える根拠を述べ、反対の主張が成立しないことを論証する文章である。

 したがって、論文では主張と根拠がポイントになる。

  1. 主張

     主張は、主題に自分の考えを加味したものともいえる。しかし自分もそう考えるからといって他人の主張(論文)を要約したり、反復したりしてはいけない。論文の主張には、書き手自身の独創性が含まれていなければならない。
     主張は大きく三つに分類できる。

    1. 事実についての主張

      これは、過去または現在の実際に起こった出来事(事件)を事実として主張することである。「幽霊が実際に現れて、それを目撃したから事実である」という類の主張である。

    2. 価値についての主張

      これは、ある制度、生き方、事実の解釈の仕方など、それらの価値判断にもとづいた意見についての主張である。たとえば、「脳死は人間の死として認めるべきである」といったものである。

    3. 政策などについての主張

      これは将来の行動・動作・計画の提案についての主張である。たとえば、「言論の自由を保障するために法律を制定せよ」といったものである。

  2. 根拠

     主張があっても、それが独断的であっては論文とはいえない。論文には、だれにも理解しうる合理的な方法で、根拠づけられていなければならない。またその結果として、反対の立場の主張が成立しない(しにくい)ことを論証して、相手を説得することが論文の使命であるともいえよう。

  3. 論文の形式と書き方のポイント

     論文には次のような要素がある。

    • 論文の題名
    • 執筆者名
    • 序・緒言(小論文では省いてよい)
    • 目次(小論文では省いてよい)
    • 要約(小論文では省いてよい)
    • 序論
    • 本論
    • 結論
    • 参考文献

     ここでは、「序論」から「参考文献」までについて説明する。

    1. 序論

      まず問題設定からはいり、特定の主題に対して、どのような角度から、どのような方法で論じていくかを記述して、読み手を誘導する。最初から結論を持ち出しては、論文では説得力をもたない。読み手の関心を引く問題設定、なぜそれを問題にしなければならないのか、どのような方法で処理するのか、注目すべき事実への言及などを簡潔に述べることがポイントになる。

    2. 本論

      本論では、主張の提示・論拠の提示・調査資料や文献など論証材料の提示・対立する主張(反対論)の提示と反証などが行われる。ここでは問題設定を受けて展開される論理の筋道を自分で明確に意識したうえで、順序よく丁寧に合理的に根拠づけていけるかどうかがポイントになる。
       合理的な根拠づけの条件とは、論理的であることと、それが実証可能であることである。信頼できる資料(統計や文献・調査収集データ)を豊富に準備し、反対論を引用してそれに対する反証を加えるなどして必要なだけの論証を根気よく積み重ねていくことが論文の要である。

    3. 結論

      最後に全体の要旨を簡潔にまとめ、論証の積み重ねの結果導き出された結論をはっきりと記述する。

    4. 注があれば記述する。注は二つに大別される。

      • 補足としての注。本文中に記述すると、文章が煩雑になったり論証が脇道にそれたりするような場合に用いる。傍証・補遺として使えるような資料のある場合に注を利用する。
      • 引用資料の典拠を示すための注。著者名・書名・出版社・出版年・ページ数などを記述する。

      注は本文末尾につけたり、脚注としたりする。

    5. 参考文献

      論文を執筆するにあたって、参考にした文献の一覧を掲げる。

ページトップへ

説明文の書き方

 説明の文章とは、読み手が知らないことや知っていても不十分にしか知らないことについて、読み手にわかってもらう文章である。

 読み手の知らない事がら(書き手が伝えたい事がら)はさまざまである。その事がらによって、注意するべきことも少し変わってくる。

  1. 出来事を説明する文章

    「5W1H」を忘れないようにする。
    「5W1H」とは、

    • When(いつ)
    • Where(どこで)
    • Who(だれが)
    • What(何を)
    • Why(なぜ)
    • How(どのように)

    である。これにエピソードや書き手の感想を付け加えると、なおよい。

  2. 作り方を説明する文章

    料理・日曜大工など何かの作り方を説明する文章である。読み手は、その文章を読んで実際にやってみるのだということを忘れてはいけない。材料・道具・場所・手順・完成図などが記述の要点である。

  3. 操作の仕方を説明する文章

    ファクシミリの使い方など、機械・器具などの操作の説明である。ここでは機械・器具の図解、各部の名称、目次・機能・操作方法・操作手順・エラー時の説明などの記述が要点である。

ページトップへ

報道文の書き方

 新聞記事などのような、ニュースを報道する文章(報道文)の読み手は、不特定多数である。したがって、特定の世代や職種の人のための書き方を想定するのではなく、標準的な書き方を目指さなければならない。

  1. ニュース記事を書く態度

    1. なによりも正確でなければいけない。事実や出来事に誤りがあった場合には、すぐに訂正する。
    2. 主眼である結論を最初に書き、次に経緯などの説明を、最後に補足的な事がらを書き添える(「文章の型を学ぶ」〈逆三角形型〉を参照)。
    3. 「5W1H」の要素を必ず含める。
    4. 読み手にとって、その報道文はどのような価値があるのかを示す。
    5. ニュースの出所をできるだけ明らかにし、読み手が信頼できるものにする。
    6. 意見が対立している問題については、反対意見なども必ず紹介し、公平さを保つ。
    7. 事実は客観的にありのままに伝える。
    8. だれにでもわかるように、やさしい文章を書く。
    9. 漢字の使い方など表記の基準を決め、それを守って書く。

  2. ニュース記事を書く要領

    1. 次に示すニュース記事の特殊な形式を理解する。
      • 見出し(ヘッドライン)……記事の内容の種類を示し、内容をなるべく簡単に紹介する役目がある。読み手の注意を引くことが目的である。
      • 書き出し(リード)……内容の要点を簡明に縮めた、全文の要約である。読めば、ニュースの内容がすぐにわかるようでなければならない。
      • 本文……記事を具体的に解説したもの。初めの部分ほど重要なことを入れ、あとへいくほど重要でなくなる。
    2. 見出しは、できれば記事の中の字句をそのまま組み合わせ、客観的なポンイトだけを伝えるようにする。
    3. 見出しは、名詞止め、助詞止めなど表現効果を工夫する。
      • 名詞止めの例:解散必至の衆議院、個人の税率を引き下げ
      • 助詞止めの例:介護対策は大幅拡充へ
      • 現在形の動詞の例:米製品とすみ分け進む
      • 助詞の省略の例:与党、税制改正大綱を決定
    4. 規模の大きい記事、内容の複雑な記事には、書き出しを付けるようにする。書き出しは、みだりに用いない。
    5. 本文は、「《1》ニュース記事を書く態度」の〔2〕を守って適切に改行し、まとまりのある段落で構成する。別のニュースが追加されたために、終わりの部分が削除されても困らないようにする。文章を逆三角形型にするのは、このためでもある。
    6. 事実関係やデータの数値などに疑問があれば、必ず調べて正しいものにする。
    7. 難しい固有名詞には読みを添える。
    8. 写真・表・グラフなどを活用する。

ページトップへ

(『ことばの知識百科』三省堂刊より)