ことば百科

文章の書き方・ととのえ方

16, 正しく使う

  1. 並記の表現は統一する
  2. 副詞の係り受けは慣用に従う
  3. 「や」
  4. 「場合」と「とき」
  5. 「~を超え」と「~未満」
  6. 「~その他」と「~はじめ」

並記の表現は統一する

 たとえば動詞を並べて記述するときは、「~するときと~するとき」「~したり~したりする」など、同じスタイルになっていることが望ましい。

 名詞と動詞の混在も見かけるが、名詞なら名詞、動詞なら動詞と、どちらかに統一するのが基本である。

【例〔1〕】

× 読書したり思索するときは~
○ 読書したり思索したりするときは~
○ 読書するときや思索するときは~

【例〔2〕】

× 顧客名の追加や訂正する際には~

「追加」は名詞として、「訂正」は動詞として使われている。このような混在は改めたい。

○ 顧客名の追加や訂正の際には~
○ 顧客名の追加や訂正をする際には~
○ 顧客名を追加するあるいは訂正する際には~

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副詞の係り受けは慣用に従う

 副詞または副詞句の中には、常にあることばを伴うなど、決まった係り受けの規則をもつものがある。その規則を知っておかないと、無用な煩わしさを読み手に与えることになる。

【否定を伴う例】

  • 決して振り返ってはいけません。
  • 全然おもしろくなかった。
  • まったく怪しい者ではありません。
  • 今回の停戦が、必ずしも平和をもたらすとは限らない。

【仮定を伴う例】

  • もしそれが昨日の出来事なら、つじつまが合わない。
  • もしも、君の言うことが本当ならば、とてもうれしい。

【疑問・推量を伴う例】

  • もしかしたら、それは彼の仕業かもしれない。
  • もしや、あなたは大奥様ではないのではありませんか。
  • まさか、この雨のなか、彼がやって来ることはないでしょう。
  • いくらなんでも、これ以上税金を払う必要はないだろう。
  • おそらく、10時の列車には間に合うでしょう。

【選択を伴う例】

  • あれこれ心配するくらいなら、むしろ家で寝ていたほうがよい。
  • いっそ、ヨーロッパへでも脱出したほうがましだ。

【希望を伴う例】

  • できれば、二日後にお返事をいただきたいのですが。

 「全然おもしろい」のように、否定を伴わない表現を聞くことがある。しかし、正式な表現とはいえない。正しい規則を国語辞典で確認しよう。

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「や」

 「~や~」の「や」は、「および」の意味と「または」の意味がある。区別を明確にする必要があるときには、「および」「または」に置き換えたほうがよい。

【例〔1〕】

 文章を書くときは、ワープロやエディターを使う。

 「どちらか一方」の意味なら、次のように書き換える。

 文章を書くときは、ワープロまたはエディターを使う。

【例〔2〕】

 絵入りの手紙は、グラフィックソフトやワープロを使う。

 「両方」の意味なら、次のように書き換える。

 絵入りの手紙は、グラフィックソフトおよびワープロを使う。

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「場合」と「とき」

 「場合」も「とき」も、条件の範囲を表すが、条件が二つのときには、

 場合……最初に示される大きい前提条件

 とき……二つめに示される小さい条件

と、「場合」と「とき」を区別して使ったほうがよい。

【例】

× 同率首位になったとき、獲得点数も同じときは失点数で決める。

○ 同率首位になった場合、獲得点数も同じときは失点数で決める。

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「~を超え」と「~未満」

 数値の範囲を表すときには、細心の注意が必要である。たとえば、示された数値が含まれるのと含まれないのとでは、文意は大ちがいである。

 ふつう、「~を超え」「~未満」は、示された基準の数値を含まない。ただ、「含む」と誤解されることがあるので、べつの語に言い換えたほうがよい場合がある。

【例〔1〕】

× このパック旅行が成立するのは、50人を超え60人未満の場合である。

○ このパック旅行が成立するのは、51人から59人までの場合である。

【例〔2〕】

 130ポンドを超え135ポンド以下がライト級である。

 この例では、「130ポンドを超え」を、単純に「130.1ポンドから」とは言い換えられない。なぜなら、「130.01ポンド」が「ライト級」に含まれるかもしれない。

 このように、ある数値の次の数値が特定できない場合(人数なら50の次は51と特定できる)では、「~を超え」が適切なときもある。

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「~その他」と「~はじめ」

 この二つの語も、「~」にあたるものが、含まれるのか含まれないのか迷うときがある。

【例〔1〕】

×  部長その他3人の管理職は~

○  部長と3人の管理職は~

【例〔2〕】

×  部長はじめ3人の管理職は~

○  部長と2人の管理職は~

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(『ことばの知識百科』三省堂刊より)