ことば百科

文章の書き方・ととのえ方

8, 書き出しを大事にする

  1. 自信なげに始めない
  2. 言い訳から始めない
  3. だらだらと始めない
  4. 疑問形を連発しない
  5. 感情的にならない
  6. 慣用句やことわざを安易に用いない

 書き出しは、続く文章への入り口。読み手を追い返してしまうような入り口をつくってはいけない。読み手をすっと通してしまう入り口をつくるための注意を、いくつか列挙しよう。

自信なげに始めない

【よくない例】

 どうも文章を書くというのは、子どものころから苦手で、作文の時間というといつも泣きそうになったものだが、…

 正直がいつもよいとは限らない。読み手は不安になる。

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言い訳から始めない

【よくない例】

 編集部から電話があって「現代日本語の諸相」というタイトルで、学生を中心とする若年層の日本語の乱れについて書けとのこと。若者に接する機会が多い筆者であるが、ふだんあまり深く考えたこともなく、締切まで時間もないので、…

 読み手は言い訳を聞きたいのではない。筆者の意見を知りたいのだ。

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だらだらと始めない

【よくない例】

 今度の取材旅行は、世界各国の人びとで賑(にぎ)わう、観光とビジネスの島、映画「慕情」の舞台にもなったロマンの島、香港島を訪れたわけだが、今回は、観光地めぐりでもなく、経済発展の秘密を探るためでもなく、だいいちこれについては、多くの研究が出版されており、もちろんそれらの中には採り上げるべきものもあるが、中国大陸の存在を思うとき、…

 文章の要点がわかるような書き出しが望ましい。これでは、どんな内容なのか想像がつかない。

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疑問形を連発しない

【よくない例】

 人はどう生きるべきか、死ぬべきか。人間らしい死に方とはどうあるべきか。そして、尊厳死ということばが、あまりに安易に語られる原因は何か。このような問題に対して、私は、…

 効果的なスタイルだが、重ねすぎると、焦点がぼけてしまう。

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感情的にならない

【よくない例】

 「見れる」ということばを聞くと虫酸(むし‐ず)が走る。なんといやらしい響きのことばだ。こんな日本語、絶対認めてやらない、…

 「見れる」が嫌いだということはわかるが、読み手が納得してくれるかどうかわからない。

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慣用句やことわざを安易に用いない

【よくない例】

 昔から「人のうわさも七十五日」というが、あの出来事は、もうだれも覚えていないだろう。…

 便利な書き出しだが、手垢(て‐あか)にまみれた言い回しは、読み手の意欲をそぐ。

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(『ことばの知識百科』三省堂刊より)