ことば百科

文章の書き方・ととのえ方

6, 大事なことを先に書く

  1. 【例〔1〕】
  2. 【例〔2〕】
  3. 【例〔2〕を書き換えた例】
  4. 【例〔3〕】
  5. 【例〔4〕】
  6. 【例〔4〕を書き換えた例】

 大事なこととは、読み手がいちばん知りたい事がらである。知りたい事がらを先に書くと、読み手の印象も強くなり、誤解を防ぐことができる。時間があまりない読み手への親切でもある。

【例〔1〕】

 清掃は、最上階の5階から順に、4階、3階と進める。1階から始めると、せっかく清掃した廊下を、道具の移動などで通行することになり、再び汚してしまう。~

 清掃についての注意書き。これをもし、「清掃は、1階から始めると、せっかく清掃した廊下を、道具の移動などで通行することになり、~」などと始めると、「要するにどうすればよいのだ」と、読み手はいらだってしまう。明瞭な指示を含む文章では、その指示を先に書く。

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【例〔2〕】

 行き先は、伊豆方面が妥当と考えます。理由は、メンバー全員にとって均等に近い地域なので、移動時間を短縮できます。費用も予算内におさえられます。また、伊豆はメンバーの8割がはじめて訪れる地域です。

 旅行の行き先を決めるために提出された文書。意見・主張を先に書き、理由をあとで補足する。この構成は書き手の論理を一貫させるので、読み手は理解しやすくなる。一つ一つの理由が独立しているのなら、箇条書きにするとなおよい。

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【例〔2〕を書き換えた例】

行き先    伊豆方面が妥当

理由

  • メンバー全員にとって均等に近い地域なので、移動時間を短縮できる。
  • 費用も予算内。
  • 伊豆はメンバーの8割がはじめて訪れる地域。
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    【例〔3〕】

     自殺の原因は特定できない。

     A君に問題行動はなかった。学習態度もよく、遅刻もめったになかった。テニス部では、2年生の中軸として活動していた。交友関係も良好だった。両親の話では、~

     調査報告の例。原因(理由)と結果を述べる文章では、結果を先に書くとよい。読み手はまず結果を知りたがっている。複雑で多岐にわたることもある原因(理由)は、あとで確認できるような文章構成を心がけたい。

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    【例〔4〕】

    電話を受けるときの注意

     所定の用紙には、相手の名前、相手の電話番号、電話の内容、受けた時刻、当方から電話をするのかどうかなどが、表形式でまとめられている。担当者が不在の場合には、この用紙に従って必要事項を記入し、担当者に渡すこと。

     「所定の用紙」に記載されている項目を、ここで説明する必要はない。用紙を見ればわかるはずである。大事なことは「所定の用紙」に記入することである。

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    【例〔4〕を書き換えた例】

    電話を受けるときの注意

     担当者が不在の場合には所定の用紙に必要事項を記入し、担当者に渡すこと。

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    (『ことばの知識百科』三省堂刊より)