ことば百科

文章の書き方・ととのえ方

3, 文章を書くときの基本

  1. 文章の目的は何か
  2. 文章の読み手はだれか

 文章の種類には、説明文・記録文・論文・日記などいろいろある。しかし、どんな種類の文章であれ、わかりやすい文章を書くためには、はじめに、次の二つに注意を向けなければならない。

文章の目的は何か

 まず、今書こうとしている文章の目的をはっきりさせることが必要である。

 たとえば、それが実験や調査の内容を報告する文章なら、少なくとも、実験や調査の目的・方法・結果、結果に対する考察などを書かなければならない。どれか一つを欠いても、まとまった報告の文章とはいえない。結果に基づかない考察を付け加えたりしてはいけない。

 新製品を宣伝する文章なら、何よりも、消費者に、その製品を買おうとする気持ちを起こさせるような文章を目指さなければならない。新製品の性能・特色が、どれほど的確に示されていたとしても、買い手に購買意欲が起こらなければ、宣伝の文章としては失格である。

 もしも、自分の意見を伝える文章なら、意見そのものだけではなく、意見の論拠や予想される反論に対する再反論といった事がらも、書くほうがよい。自分の意見を納得してもらうためには、そのほうが望ましいからである。また、意見を伝える文章では、事実と意見を混同しないようにしなければならない。

 このように、書く文章の目的が決まれば、書かなければならない事がらや書くときに留意しなければならない事がらが決まってくる。目的が変われば、これらの内容も変わる。目的がはっきりしないと、書くべき事がらや留意事項もあいまいになり、結局「何を言いたいのかさっぱりわからない」文章を生んでしまうのである。

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文章の読み手はだれか

 次に大事なことは、今書こうとしている文章はどんな人が読むのかということである。

 手紙の読み手は明らかである。その、読み手が明らかな手紙の場合ですら、これだけの説明ではうまく伝わらないのではないか、こう書くと不愉快にさせるのではないかなどと、そのときの読み手の予備知識や心理状態を想像しながら文章を書く。読み手がたった一人ではない文章なら、なおさらのことである。

・読み手の関心や興味はどこにあるか。

・読み手はこの文章に何を期待するか。

・読み手の予備知識はどれくらいか。

 たとえば、読み手の関心事がうまく想定できれば、その話題に触れることで、読み手を自分の書く文章に引き込むことができる。その結果、効果的に意図を伝えることができる。操作方法がすぐに探し出せないように書いてあるパソコンのマニュアルは、読み手の期待を裏切ったものといえよう。読み手が一般社会人と中学生とでは、おのずとことばづかいも変わってくるだろう。読み手を意識することは、効果的な文章を書くための条件である。

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(『ことばの知識百科』三省堂刊より)