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連載「日本のジェスチャー・世界のジェスチャー」 第5回


連載 「日本のジェスチャー・世界のジェスチャー」 東山 安子 第5回 肯定と否定のジェスチャー(1) 'Yes'


   海外にでかけるとき、その国のことばができなくても身ぶり手ぶりで通じるだろうと考えることはよくあります。

   しかし、今回から3回にわたって取り上げる、「肯定」と「否定」を表すジェスチャーは、コミュニケーションのうえで重要な意味を伝えるにもかかわらず、万国共通とは言えません。そのため、誤解や混乱を引き起こすことが多々あります。

   日本では、「はい」と肯定の意味を表すとき、首を縦に振ります。うなずいて肯定の意味を伝えるのは世界各地で使われます。ところが、「あいづちをうつ」という表現があるように、日本人は単に相手の話を聞いているとか、相手の話に調子を合わせる意味でうなずくことがあります。

   これは、頭を縦に振れば「Yes」であると解釈する海外の人には混乱の原因となりやすく、しばしばビジネス交渉の場では問題になります。

   わかりにくい肯定のサインとしてモリス(※第1回参照)が挙げているのは、ブルガリア、インド、パキスタンなどで使われる、頭を左右交互に傾けて揺らすジェスチャーです。

   このジェスチャーは、頭を左右に横に振って否定を表す場合に似ているので、否定を表していると勘違いされやすいことと、「はいかなぁ、いいえかなぁ」と迷って頭を左右に傾けるジェスチャーにも似ているので、誤解を引き起こすことが多いようです。
(2008年9月19日)

『日米ボディートーク』より「うなずき」。
頭を縦に振ってうなずき、肯定を表す。世界各地で使われる。





東山 安子(とうやま やすこ) 東京生まれ。日本女子大学大学院・コロンビア大学大学院・シカゴ大学大学院修了。明海大学外国語学部教授を経て、現在、同大学院、立教大学大学院にて教鞭を取る傍ら、異文化間非言語コミュニケーション領域の執筆活動に従事している。



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