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連載「日本のジェスチャー・世界のジェスチャー」 第2回


連載 「日本のジェスチャー・世界のジェスチャー 」 東山 安子 第2回 世界の挨拶(1)「お辞儀」


   挨拶は、人々が出会い、コミュニケーションをとる際の大切な習慣です。日本では、出会った 時 にも別れる時にもお辞儀をしますが、この「お辞儀」という挨拶の動作は日本独特のものでしょうか。

    イギリス人のモリス(※第1回参照)によれば、お辞儀は昔、西欧では一般的な挨拶で、 お辞儀、手を振る、膝を曲げる会釈、手をかざす、といった形が上流社会での出会いのジェスチャーであったといいます。今はお辞儀は公式な場に限定され、例 えば宮廷では、男性はお辞儀をし、女性は膝をかがめて会釈します(イラスト参照)。劇場では今でも男優も女優も最後にお辞儀をするのが通例です。

   お辞儀をする地域としては、一般的なのがアジアで、ドイツ以外のヨーロッパでは珍しく、ア メリカでは稀と述べています。アジアでは日本のほかに、韓国も日常的にお辞儀を使う地域です。儒教の影響の残っている韓国では、今でも日本よりも多様なお 辞儀の仕方があり、たとえば教師など、一般に地位が高いとされ尊敬される人に対しては、腰を90度に曲げるなど、さまざまな約束事があるといいます。

    一方で、中国ではお辞儀は一般的でないというのも興味深いことです。当然のことながら、ア ジアの中にも多種多様な挨拶の仕方があるのです。 (2008年7月10日)

『日米ボディートーク』より「お辞儀」。
身体を前方に曲げ、頭を下げる。

『ボディートーク』より「跪き(ひざまづき)会釈」。
両足を膝のところで曲げ、片方を後ろに引く。
(イラスト・小野原礼子)






東山 安子(とうやま やすこ) 東京生まれ。日本女子大学大学院・コロンビア大学大学院・シカゴ大学大学院修了。明海大学外国語学部教授を経て、現在、同大学院、立教大学大学院にて教鞭を取る傍ら、異文化間非言語コミュニケーション領域の執筆活動に従事している。



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